
「伝統工芸 箔押しに触れる」
新30被服 西 敦子
2025 年 11 月 18 日、秋の行事が開催されました。
訪問先は、西区三篠町にある歴清社で、創業 120 年、日本で初めて箔押し紙の開発に挑み、今や世界一の金箔加工技術を誇る会社です。日本の伝統工芸である箔押しの工程を見学できるということで、とても楽しみに参加させていただきました。
ギャラリーに入ってまず目を引いたのは、革ジャンならぬ金箔ジャン。部屋の隅の人台に着せてあり、金箔のカウボーイハットやロゴを箔押しした T シャツも飾ってありました。皮や布にも箔押しできるのかと、驚かされましたし、思わず触れてみたくなりました。次に感嘆したのが金のふりかけです。作業場見学の前に、担当の方から会社の設立や箔押しの技法について説明を伺ったのですが、その際にふるまわれたコーヒーの一人一人のカップに、順にふりかけを一振りしてくださいました。カップを覗き込むと、そこには美しい金箔が。もう、それだけで優雅な雰囲気に包まれました。
作業場の見学では、金箔(真鍮箔)を貼っておられるところを見せていただきました。長さ 5 メートルもあろうかと思われる接着剤を塗った紙に、20cm四方の金箔を4人がかりで敷き詰め貼りあわせていく様子は静かながら圧巻でした。10,000 分の数ミリという薄さの箔ですから、ちょっと息がかかれば揺らめいたり皺になったりしそうですが、正確に手早く黙々と作業される姿を拝見して、職人の技のすばらしさに感心いたしました。こうしてできた品々が金屏風や壁紙となり、ホテルや神社仏閣の建材、マテアリアルに使われたり、また小物に変身したりして、私たちの生活を彩るのだと知りました。
「人の手によって生み出されたものが持つ確かな美しさは、見る人のこころの深くへ伝わる」と、歴清社案内に記されています。まさに私にとって、丹念で精緻を極めた手仕事のすばらしさに深く感銘した時間でした。
このような素敵な機会を作ってくださいました幹事の皆様に心よりお礼申し上げます。

