
酷暑が過ぎ、朝夕ほんの少し涼しさを感じるようになった9月27日、富山電気ビルにおいて、桜楓会富山支部総会と講演会を開催しました。富山では能登半島地震から2年になろうとしていますが、いまだに復興の難しさを感じています。
「東日本大震災被災地の漁村の復興を振り返る」と題し、建築デザイン学科教授薬袋奈美子先生と共に震災と復興について共に考える機会をいただきました。
講演では、被災地の漁村の復興状況を分かりやすく説明されました。巨大な防潮堤によりかえって壊滅的な被害を受けた漁村、神社本殿や有力者住居跡はほぼ被災を免れているなど、海外での視察も交えた解説に驚きと納得でした。防災とは、地域住民が参加し、先人からのメッセージを取り入れ、生活の視点から安全安心な環境を見直すことと解説されました。さらに、これからの人口減少を見据え、地域の伝統文化を共有納得し、その地域らしい豊かな生活環境へいかに転換していけるかが課題であると提案されました。
会員からは造る側と住む側に立った防災の違い、防災に対する考え方が変わった、若い方の参加がもっとあればよかったなどの感想がありました。薬袋先生には、前日は能登被災地視察、講演直前までウェブ会議、伝統文化の着物姿で講演をするなど、研究姿勢そのもののパワフルで暖かなお人柄に感動しました。当日は支部会員12名に加え、福井、金沢支部、一般の方合わせて29名の参加があり、講演会は本学の講義を受けたようで有意義な時間でした。このような貴重な機会を経験することができた派遣事業がさらに活用されますように期待しています。
富山支部長 新24回住 嶋尾早紀子

