広島支部 ~会員の広場~ 

『支部総会〜被爆樹木が紡ぐ平和への想い』
新41理II 富澤 まり

 令和7年度桜楓会広島支部総会を6月28日(土)に開催しました。その際、卓話として指名頂き、「被爆80年〜被爆樹木から〜広島が今発信すべきこと」と題し、神奈川県出身で結婚を機に広島に住み約30年、樹木医で現在広島市植物公園職員でもある私からお話しさせていただきました。

     右写真:

被爆樹木ソメイヨシノソメイヨシノ(頼山陽文徳殿内)


 

 令和7年度桜楓会広島支部総会を6月28日(土)に開催しました。その際、卓話として指名頂き、「被爆80年〜被爆樹木から〜広島が今発信すべきこと」と題し、神奈川県出身で結婚を機に広島に住み約30年、樹木医で現在広島市植物公園職員でもある私からお話しさせていただきました。

  「被爆樹木」とは爆心地から概ね2km以内で被爆した樹木で、被爆当時のままそこにあるか、被爆後に移植されたことが確認できるものを対象にし、広島市には現在159本が登録されています。私たちに馴染みの深いサクラやカエデも含まれており、傷跡を残しながらも健気に生き、花を咲かせる様子に、生命の力強さを感じます。

被爆樹木を観察すると、多くの木に以下の傾向が見られます。

 1.爆心地側の幹に、火傷の跡やウロがある

 2.爆心地側では、枝の数や根の張りが少ない

 3.爆心地側に向かって傾いている(爆心地側の生育が遅いためと考えられています) 

これらのポイントを知ると、自然と木との対話が深まるように感じると思います。

 広島の爆心地は市の中心部だったため、平和大通りや広島城など、比較的交通の便が良い場所に被爆樹木が点在しています。被爆樹木を巡り、その「生きた証人」である樹木の声に耳を傾けてみてください(詳しくは、広島市HPをご覧ください)。

 さらに私が勤める広島市植物公園では、被爆樹木2世の種子を海外に送るお手伝いをしています。世界に広がった被爆樹木2世たちは、各地で芽吹き、平和を伝える使者となっています。

 被爆80年を迎え、戦争や原爆といった記憶が薄れ、特に若い世代に平和の尊さを知ってもらうことは、とても重要なことになっています。今回「被爆樹木」の話をお聞きくださった皆様が、周囲の近しい方々に少しでも発信していただければ幸いです。

 総会の締めくくりには、豪華なお弁当をいただきながら会員の近況報告の時間を設けました。体調に不安を抱えつつも人生を謳歌されている先輩方のご様子や、定年を迎えた同世代による新たな楽しみの発見など、和やかで活気に満ちた話題で大いに盛り上がりました。皆様の明るい笑顔と率直な語らいが印象的で、母校の絆を改めて感じることのできた貴重なひとときとなりました。

【参考】

広島市植物公園HP: http://www.hiroshima-bot.jp/info/被爆80年特別企画展被爆樹木/

広島市HP:

https://www.city.hiroshima.lg.jp/atomicbomb-peace/fukko/1021101/1026920/1026922/index.html